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真澄の空と晴れたる顔に

 不思議を夢見る瞳の子よ!

時の過ぎるが速く、我と君

 半生の時、離れ離れなるとも

君の微笑み、必ずや喜び迎え入れん

お伽話なる、愛の贈り物を

 

 

光溢るる君の顔を久しく見ず

 銀の音奏でたる笑い声も久しく聞かぬ

若木伸びゆくこれよりの君の時

 我の占める場あろうとも思いはせぬ――

君、必ずや我がお伽話に耳を傾けんこと

今はそれにて不足とするところは無し

 

 

話の始まりしは過ぎたる日々

 夏の陽の照り映えたりし時――

飾らぬ鐘の音に拍子釣られて

 我ら小舟の櫂を操りたり――

その谺、未だ思い出の中、鳴り響く

妬む歳月の「忘れよ」と言えども

 

 

さあ、では耳を傾けよ、

 苦き報せを負いたる忌まわしの声が

就きたくはなき寝床へと

 心沈みたる乙女を呼ぶ前に!

我ら歳を重ねし子供に過ぎぬ

眠りの時の迫り来るには心抗うなり

 

 

外は寒気渦巻き、目も眩む雪が舞い

 荒々しき風の気紛れに吹き狂う――

内は炉の火灯りの赤々と輝きて

 子供時代の喜びに溢れてあり

魔法の言葉らは君をしかと捕まえん

君は荒れ狂う突風も気に留めはすまい

 

 

また、微かなる溜息が

 過ぎ去りし「幸福なる夏の日々」や

消え失せし夏の栄華を求め

 物語のそこかしこ、顔を覗かせるやも知れぬが――

そは些かたりとも悲しみ嘆き、害為すものには非ず

我らがお伽話は楽しみ(プレザンス)の為にこそあり

 

 

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