あおぎ見れば雲一つなき空、 とある七月の夕まだき
りくりたる光景のただ中、
一艘の小舟が夢見心地で漂い、進みゆく
すこやかなる子らは目を輝かせ、耳をそばだて、
我がつたなき話に聞き入りたり
ぷかぷかと浮かぶ小舟の上、
楽しげに我に寄り添いて聞き入りたり
れいこくなる時の流れはそれらすべてを色あせさせ、薄れさせ、
秋の霜が七月の息を絶やしたり
残像のごとく、今も我がもとを訪れ、空の下で跳ね回るアリス、
とは言え、覚めたる目には決して見えぬが
すこやかなる子らはそれでもなお、目を輝かせ、耳をそばだて、
お話聞かんとしてやさしく寄り添わん
りくりたる夢、フシギの国に横たわりて夢見つつ、
日々は過ぎゆき、夏は終わりゆかん
どこへとも知れず、絶えず流れに押しやられ、
きらめく光の中を我ら漂いゆく
流転流浪する人の世は、
これぞ夢にあらずして何であろうか?
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