ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND

 

 現在では『不思議の国のアリス』あるいは『ふしぎの国のアリス』が一般的な訳になっている。

 もうなじんでしまって変えようがない気がしていたが、大久保ゆう氏は『アリスはふしぎの国で』という、これまでにないタイトルで訳出された。

『不思議の国のアリス』というタイトルは『鏡の国のアリス』と対を成しているし、落ち着いたいいタイトルなのだが、訳してみて感じた、ギャグやジョークやパロディがてんこ盛りの、むしろそれだけでできているようなおもしろおかしい話、といった印象とのずれも感じる。

 原題の Alice's Adventures in Wnderland は、主語が Adventures であるせいか、もうちょっとワクワク感とか、生き生きした感じ、動的な印象があるので、「フシギ」とカタカナにすることで、多少なりとも変てこな感じやワクワクする雰囲気が出せないかと思った。

 この原題の Adoventures は「冒険」というより「奇譚」といった意味合いのようで、岩崎民平訳『ふしぎ国のアリス』(研究社新訳注双書)には「偶然身に起って来る奇事変事」とあった。

 もっと軽く、「お話」くらいの意味合いだろうという意見や、逆に、いやいややはり「冒険」だろうという意見もあるのだが、いずれにしても原題は「出来事」の方に焦点を当てていると言える。大久保氏の訳題もそれを踏まえたものだろう。

 この Adoventures がタイトルから抜け落ちていく経緯は、宮垣弘氏のサイト、『Alice in Tokyo』「不思議の国より不思議な国のアリス」「失われたアドベンチャー」という考察がある。

 ところでテレビで出た並び替え問題に、「振りすぎの足の肉」(!)というのがあった。

 

 

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