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CHAPTER 12. ALICE'S EVIDENCE
�� As soon as the jury had a little recovered from the shock of being upset, and their slates and pencils had been found and handed back to them, they set to work very diligently to write out a history of the accident,…
アリスは11章で、石板にまず自分の名前を書いているのを stupid things! と言ったが、どうやらここで役立ってしまったものと思われる。しかもほかならぬアリス自身の行為によって。いずれにしても「あんまり意味はない」のだが。
�◆�Unimportant, of course, I meant,”the King hastily said, and went on to himself in an undertone,“important―unimportant―unimportant―important―”as if he were trying which word sounded best.
「重要じゃな――重要じゃない」という訳は、柳瀬尚紀氏の訳の「重大じゃな――重大じゃない」から。
��“I haven't opened it yet,”said the White Rabbit,“but it seems to be a letter, written by the prisoner to―to somebody.” “It must have been that,”said the King,“unless it was written to nobody, which isn't usual, you know.”
この nobody を使った否定文を肯定文のように扱ったジョークは『鏡』の7章にも出てくる。 it was written to nobody を否定文に訳せば、「それは誰にあてても書かれなかった」と書かれたこと自体が否定されるから、「書かれなかったのでなければ書かれたに違いない」という当たり前の話になる(「誰にもあてないで書かれた」のではなく)。 また、このあと王様は He must have imitated somebody else's hand,… You must have meant some mischief,… とさらに二度 must を繰り返し、詩の解釈でも …that must be the Queen… …why, that must be what he did with the tarts, you know… と二度 must を使っている。すべて勝手な推定で裁判は進む。
�ぁ�this paper has just been picked up.” “What's in it?”said the Queen. “I haven't opened it yet,”said the White Rabbit;…
この paper はどういう形だったんだろう。まだ開いていないと言っているし、このあと unfold したと続くので、折りたたまれていたんだろうと思うが、映画では丸められた形だったりするし、書かれていたのは手書きのちょっと長い詩なので、紙も長いか、数枚あるかしないと収まらないように思えるが。
�ァ�Please your Majesty,”said the Knave,“I didn't write it, and they ca'n't prove I did: there's no name signed at the end.” “If you didn't sign it,”said the King,“that only makes the matter worse. You must have meant some mischief, or else you'd have signed your name like an honest man.” There was a general clapping of hands at this: it was the first really clever thing the King had said that day.
王様の意見を clever と言っているが、そもそもジャック(Knave)が他人の筆跡をまねたのなら、自分の名前で署名しているはずがない。王様はジャックになぜ誰の署名もないことを知っているのかと突っこむべきだった。ジャックは何と答えたろう。署名があるなら白ウサギが言及したはずだからと答えたろうか。ひょっとして意外にも王様の推理は全部当たっているのだろうか。いずれにせよ結局 tarts は盗まれていないのだが。
�� I gave her one, they gave him two, You gave us three or more; They all returned from him to you, Though they were mine before.
If I or she should chance to be Involved in this affair, He trusts to you to set them free, Exactly as we were. […]
they them は英語では人か物か曖昧なので、その感じを出したくて古語風に訳してみた。
�А�If there's no meaning in it,”said the King,“that saves a world of trouble, you know, as we needn't try to find any. And yet I don't know, … I seem to see some meaning in them, after all.…’
自分の態度はこの王様の態度に似ているなあと思うことしきり。
�� (The unfortunate little Bill had left off writing on his slate with one finger, as he found it made no mark;…)
いつの間にビルは心神喪失状態から抜け出していたんだろう。
��“Let the jury consider their verdict,”the King said, for about the twentieth time that day.
「陪審は評決を〜」というのは、実際には、言おうとしたのも含めて4回目。 「20回目」というのは大げさ表現で、ウィキペディアによると、「特に西洋においては、20は多数を意味する数とされてきた。」とのこと。 日本でも「二十面相」なんか同じ感覚かと。 また、アラビアンナイトなどでは「40人の盗賊」など40が「多い」を表すのでよく出てくると『おはよう千一夜』にあった。
�� …and found herself lying on the bank, with her head in the lap of her sister,…
『フシギ』は、と言うか「アリス物語」はよく言うところの夢落ちなのだが、いわゆる夢落ちのガッカリ感というのがあまりない。夢の中の世界に独立した存在感があるせいだろう。
「ひざまくら」と言うと正座を思い浮かべてしまうが、英国人はしないだろうな。 作中のお姉さんは子供じゃなさそうだから、いわゆるペタンコ座りでもなさそうだし、横座りだろうか。ずっとそうしているのは辛くはないのだろうか。 bank だから斜面なりにまっすぐ伸ばしていたのかな。 でも、あんまり傾斜しているとアリスが転げ落ちそうだし、そもそもイギリスの川辺の bank はさほどの傾斜はないとも聞く。 木にもたれていたのなら平らなところでも辛くはないだろうが、さて。
�� So Alice got up and ran off, thinking while she ran, as well she might, what a wonderful dream it had been.
カタカナで「ワンダフル」と言うと「素晴らしい」とほぼ同義だが、アリスは夢の中でろくな目に遭っていないので、そうは言いにくい。 それでも wonderful というのは肯定的な表現なので、アリスが夢をそのように捉えているというのが面白い。 あまりに異様な夢なので、好き嫌いが霞んでしまうほど驚異の念が強く残ったということかもしれない。
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But her sister sat still just as she left her, leaning her head on her hand, watching the setting sun, and thinking of little Alice and all her wonderful Adventures, till she too began dreaming after a fashion, and this was her dream:―
二重線は初版にはあるが現在の版にはないようで、本によっては行を空けていないものもある。 あまりくっきりと区切りをつけたくなくなったのかもしれないが、ここからはエピローグで、ここまでの話とはずいぶんと違ったものになっていることもあって、なんとなく付け戻したくなった。
はじめ翻訳で読んだ時、このエピローグにはちょっと無理があるんじゃないかと思った。 お姉さんがフシギの国を夢見る姿を通して、アリスがまわりのごくありふれた音の影響などで夢を見ていたように書かれているのだが、しかもなんだかとても素敵な夢であったかのように書かれているのだが、実際にアリスの見た夢、フシギの国はとてもそんなことで説明のつくようなものではないし、素敵なものと言うより異様なもので、そもそも少女が自力で想像できるようなものではなかったからだ。 あくまでも大人の知識と経験を持ったキャロルが子供の視点で大人の世界を見て想像した世界なので、そんな別世界にアリスが夢を通じてまぎれこんでいたのだと言った方がずっとしっくりくる。 『鏡』の赤のキングの夢のエピソードなどはそのあたりを踏まえているのだろうと思う。 ところがこのエピローグのおかげでそんなダイナミックさは薄れてしまうし、面白おかしくとんでもなかった夢の世界はなにやらしみじみとしたものに変わってしまう。 そういった意味では作品の本質をゆがめてしまっているとも言えるし、そんな蛇足感からか、映像化にあたってはまず再現されない部分ともなっている。 最後にお姉さんがアリスの将来を思うシーンは、おそらくメッセージとしてはキャロルが一番書きたかったことで、それを書くために、さりげなさを装いつつもやや強引に話をつなげているという気がする。 ただ、ではメッセージはメッセージとして別立てで書けば、お姉さんの夢の部分はいらないかと言うと、そうは言えない。 そのままの形で放っておけば走り去るアリスと共に(トンデモな夢として)どこかに飛んでいってしまいそうな話を読者のもとにつなぎとめる役割を果たしていると思えるからだ。 だから多くの映像化作品でこのエピローグに相当するシーンがないのは、そういった意味では作品としての弱みになっているかもしれない。
イギリスの5月の日没は7時半頃(現在はサマータイムで8時半頃)のようだ。 お姉さんが夕日をながめていたのは、お茶の時間の6時過ぎぐらいだろうから、日が沈むまでにはまだ1時間以上あるだろう。 夏の話だとするとさらにもう少し間があることになる。 そうすると the setting sun と言えるかどうかだが。
�� …and still as she listened, or seemed to listen, the whole place around her became alive with the strange creatures of her little sister's dream.
訳の分かれるところだが、「これはお姉さんが聞いたことなんだけど、と言うか聞いたらしいことなんだけど(見たんじゃなくて)」と作者がコメントをはさんでいるのだと思う。 どうして見たのではないかと言うと、そもそもまわりの音によって想起させられたものだからということのほかに、お姉さんはアリスに夢の話を聞いただけなので、つまり登場する人物や動物を絵に描いて見せてもらったりしたわけでもないので、その姿をくっきりと思い浮かべて夢に見ることもできなかったのではないだろうか。
�� The long grass rustled at her feet as the White Rabbit hurried by―the frightened Mouse splashed his way through the neighbouring pool…
pool は「水たまり」から「小さな池」まで表せる語だが、ここでお姉さんが意識しているのは、近くの「川の淵」と言うか、川岸近くの葦の密生した、流れの滞った部分ではないだろうか。もともと非常に流れのゆるやかな川であるそうだし。 「川の淵」としてしまうと、それ以前の pool と言葉の上でのつながりはなくなってしまうのだが。
�� So she sat on, with closed eyes, and half believed herself in Wonderland, though she knew she had but to open them again, and all would change to dull reality…
キャロルは dull reality と言っているが、このあとに続く、草の鳴る音、さざ波の音、羊のベルの音、羊飼いの少年の声、農家の喧騒、牛の鳴く声、などなどは、ことに現代ではむしろ夢を育むための、なかなかに得難いものであるように思われる。
�� …the rattling teacups would change to tinkling sheep-bells,…
sheep-bell(羊のベル)の音だが、チリンチリンと鳴るものもあれば、カランコロンとかガラゴロとか言った方がいいものもあるようで、これなども後者の方だが tinkle と表現されている。rattle のイメージにも近いとなるとこちらの方ではないだろうか。
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